僕は世界史の中でも中国史をとても愛している。日本の歴史小説に飽きた僕が向ったのは、中国の歴史書たちであった。安能務の「春秋戦国志」は僕にとってバイブルのようなものであった。管仲、楽毅、重耳、介子推、晏嬰などなど。生き生きと時代を彩る天才たちの活躍。時代、まさにかくあるべしと僕は思ったものである。時代がたって、自分は乱世に生まれついても、天才でもない以上、一民衆として世を処さなければならないということを思い知った以上、乱世を求めなくなったが、この時代、一握りの人達がキラ星のように現れて、時代を鮮やかに変えていった姿が実に鮮やかなに脳裏に蘇るのである。そうしてこういう時代を世界が持てたということそれ自体が世界にとって幸せなことだったと思うのである。思想家百出。思想や物語というものは、それ自体、力を持つものではないのかもしれないのではあるが。それを後世の人達は自分たちの心の栄養として生きて行く。それだからこそ、自分たちは少しでも自分たちの生き方を美しくしてもっといい生き方をさがしていくのだろうと思うのである。

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